【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長 、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
急性期病院の財務状況が悪化の一途をたどっており、このままだと立ち行かなくなることは明らかだ。2022年度の医療経済実態調査から、一般病院全体と国公立を除く一般病院、国公立病院のみの財務データを病床規模別に大まかに推計した=表1=。
まず一般病院全体を見ると、100床当たりの損益差額のマイナスが最も大きいのが500床以上(1.8億円)であり、次いで300-499床(1.6億円)、20-49床(1.4億円)。500床以上の病院では年間9億円の赤字になり、深刻な状況にある。このデータは22年度であり、23年度はさらに赤字が膨らんでいるはずだ。大病院はスケールメリットがあり、100床当たりの手術件数などの診療実績も豊富で、黒字基調に推移すると言えそうだが全くその状況にはない。
次に国公立除く病院と国公立病院を比較すると国公立病院の損益差額のマイナスが著しい。なお、この財務状況の違いが生じるのは、国公立病院は急性期志向が強く、病床利用率が上がらないことに加え、そもそも回復期や慢性期医療の方が急性期よりも収益性が高いことが関係している。さらに、国公立の看護師やメディカルスタッフなどの給与費額が高いことも背景にある=表2=。
国公立病院は補助金をもらえる所も多いだろうが、
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次回配信は1月14日を予定しています
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